廃材にしなければならないもの

自動車は初期購入者の手から離れたあとも、使用可能であれば、中古車として有効利用されます。世の中には、まだまだ使えるにも関わらず、新品でないだけで破棄される商品が数多くありますが、自動車は古きよき時代の日本文化の象徴でもある「もったいない」という意識や「お下がり」というシステムを、見事に踏襲しているとも言えるでしょう。モータリゼーションの象徴である自動車が、古くからある精神性を体現しているのはなんとも不思議な話です。

廃車

しかしそんな自動車であっても、機能低下によって安全に走行することが出来なくなり、修理さえもままならないとなったなら、やはり廃車という運命に行き着きます。しかしここでも自動車は、ただ粗大ゴミとして投棄されるわけではなく、部品単位にばらされ、まだ使えるものは有効活用されており、なんと実にその部品の80%がなんらかのリサイクル材料となり、再資源化され再利用されているのです。

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残る20%の残存物は、リサイクルすることができないため廃棄物となります。最終的には埋め立てられるのですが、全体の2割であれば大した物量ではないため、問題にならないかと言うと実はそうではありません。日本国内の自動車保有台数はその年ごとに変動していますが、おおよそ常時約7700万台程度といわれ、そのうち使用済み自動車として処理されているのは500万台ほどだそうです。うち100万台程度は、日本よりも自動車寿命がはるかに長い海外へ輸出されているようですが、残りの400万台は、解体業者によって最終的にはスクラップにされます。当然、ことときありとあらゆる部品が外され、リサイクルされているのですが、先に書いた20%程度は廃棄処分となるわけです。

年間400万台の自動車が出す廃棄物は、それが車体部品の2割といえども膨大な量となります。一般にはシュレッダーダストと呼ばれるこれらの廃棄物は、日本国内で年間100万トン以上にのぼり、その70%以上が自動車由来のものであるとも言われているのです。
しかし、金属部品の塊である自動車は、リサイクルにおいても有用であったはずですが、いったいどこからリサイクル不能な部品が出てくるのでしょうか。例えばエアバックは自動車に乗る人間を不慮の事故から守り、安全性を飛躍的に向上させてくれました。しかし、このエアバックが機能するためには、瞬時に膨張する必要があるため、特殊な火薬を爆発させることにより、瞬時に空気を本体へ送り込むという機能を持っています。この火薬は当然爆発物であり、リサイクルが不可能であるどころか、ただ埋め立てることもできない廃棄物です。安全機能が廃棄時には厄介なパーツとなってしまうのです。

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同様に、自動車のエアコンなどに使用されていたフロンガスも、オゾン層の破壊原因として厳しく取り締まられています。大気中に放出させることはできませんから、こちらも回収の必要が出る厄介者です。
しかし一番の厄介者は、いわゆる内装部品です。自動車のシュレッダーダストをASR(自動車部品破砕残存物)ともいいますが、この内訳は多い順に、樹脂素材、発砲ウレタン、線維関連部品などとなっています。当然、内装のシートや壁などに使用されているパーツが該当していることが伺えます。

さらに最近のエコカーブームによって、より燃費性能の良い車種の開発が追求されるようになり、計量化のため金属部品の一部に、炭素繊維などの素材を組み合わせるなど手法が取られた結果、リサイクルパーツとしての選別を困難にしてしまいました。
現在、自動車の設計そのものに、リサイクルを前提とした思想を組み込むことが重要視されるようになって来ています。